中医学古典中医学鄭欽安

医理真伝〜君相二火解①〜

君火と相火

中医を学習しているうちに、「君火(くんか)」と「相火(そうか)」という概念が出てきます。心の火の君火と、腎に収まる火の相火。その関係を君火・相火がそれぞれ弱った時の症状などのを含めて鄭先生が述べています。

君火

全ての火「凡火」を表す。その凡火とは「心」のことである。体の上部にあって、その上部の「陽気」を統括する。陽が強く上昇する性質があり、かつ陰が弱いことから体の上部で用いられる。

相火

真火、つまり「腎中之陽」のこと。相火は体の下部にあり陰統括する役目を持つ。陰が強くて陽が弱いため、体の下部で働く。

君火も相火も、その火の由来を同じくする。

君火の病変

君火が弱まる:上半身の関や竅(穴)、精、血のコントロールの困難やコントロールを失う。

☆君火が病むと上半身に出る。

症状:水様の鼻水、口の泡、涙、充血、鼻・歯の出血

相火の病変

相火が弱まる:下半身の関や竅、精、血のコントロールが不可能になる。

☆相火が弱ると下半身に出る。

遺尿、滑精、婦人帯下(おりもの)、失禁など

君火と相火の運動と作り上げるもの

君火相火は、お互い分け隔てることが出来ないし、どちらかが勝ることも出来ない。君火と相火が昇降することにより、中気(脾胃の気)が生じる。2つの火はいづれも土を生むことができる(火生土)。君火は凡土=胃を生じ、相火は真土=脾を生む。

君火と相火の2つの気が昇降することで、やがて3つの気になり三焦を生じる。※君火相火中気?

中宮(脾胃)が2つの火を得られなくなれば、水穀を腐熟させる機能が低下する。その結果として消化不良の便や痰湿の痞満などの症状が現れる。

君火・相火の二火の不足

上下二火が両方とも不足した場合どうなるか。

本来、上昇する上の火が不足すれば、下趨(下降)の症が起こる。例えば心病が小腸へと移ったり、肺病が大腸へ移ること。

本来、下にあるべき火が不足すると、かえって上騰(上昇)の症が起きる。虚火(弱い火が上昇して)の歯痛、喀血、喘息、顔面浮腫、喉の痛み

イトガクのまとめ

君火は上半身の火で、心と関係します。単純に君火が弱ると、上半身に症状が出ます。
相火は下半身の火で、腎と関係します。相火が弱いと、下半身に症状が現れます。
君火は昇り、相火は降る関係にあります。

相火は真土(脾)を生じます。脾は上昇し、胃は下降する関係にあります。相火があれば、腎陽となり昇気する火種になり、君火があれば下降させる火種となります。その2種類の火は、気であり生命発生・継続の根本になります。

君火・相火が体の上・下部を昇降して運行することで、中気(脾胃の気)が発生します。その3つの気が通いあうことで、「三焦(さんしょう)」を構成します。

両方の火が弱い時、その火の不足する位置により症状が変わります。

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