中国伝統医学の漢方薬・鍼灸あんまの専門家「中医師」 イトウガク です。
前言
今回は、女性の円形脱毛症の一種である全頭脱毛症について治療中ですが、経過が良好なのでご紹介します。
結果・経過
毛髪は、半年を経過して頭の前・頭頂・後部に、しっかりとした太さで成長しています。7ヶ月ほどでは、側頭部が成長しにくい状態にあります。
10ヶ月経過して、後頭部以外は「ベリーショート」の状態にあり、周囲からも「イメチェンしたの?」と言われていると報告を受けました。
最近は、思い出したかのように、眉毛への脱毛針を始めました。およそ、2週間程度で眉ペンの乗りが良くなり、眉毛が生えてきているのを実感されました。
現状は帽子も被らないで、過ごしています。
西洋医学的に治療を月一回程度、鍼灸あんまをメインに週一回行っています。
西洋医学の先生からも、成長の速さや毛の性質などを含め驚いていらっしゃるとのこと。
基礎情報
女性、40代。多方面でストレスを抱えて過敏であり、怒りやすかったり、胃が痛くなったり、頭痛を起こしやすく痛み止めを常時服用。
脱毛症に関して、西洋医学では液体窒素での治療がメイン。
治療思考
中医的な考えですと、気の流れが悪いことで起こる怒りや胃の痛み、神経過敏の状態がありました。
肝気鬱滞を中心として、気の下降をしないために陽気が頭部に溜まり該当箇所の血が少なくなったための諸症状と推測されます。
また、肝と胆は表裏関係にあります。胆の気を下降作用に、問題を生じたため熱気が上焦から下降をしなくなったと考えられます。
治療の実際
まずは、女性であるため鍼灸をするのに頭部を露出する嫌悪感があるので、その嫌悪感からの離脱をするために、カウンセリングを兼ねてあんまを行いました。
実際に、針治療を進めて頭の針を中心に、全身のあんまとカウセリングをしてストレスの解放をして、血流の担保を図りました。
頭部にお灸を加え、より血流の促進を促していきました。本人も前向きな生活をして、ストレスへの対応も出来る様になった頃から、毛髪の成長が早まりました。
頭痛も、以前に比べて薬を服用することはない状態にあります。ストレスも以前ほど無いので、胃の痛みも起きていません。
考察
この症例に関しては、緊張度のその根本を認知してもらい神(心理)を治すのをスタートとして、鍼灸で炎症を起こし頭部の血流が改善されたために、奏功した結果であると考えられます。
側頭部や後頭部の成長が遅いのは、
①首の横や後側が硬いため頭部の血流が担保されない。
②前頭・頭頂・後頭の上部は腱膜に覆われ、側頭部や後頭部の下部は筋肉に覆われているので、血の周りが筋肉がある分だけ栄養されにくい。
③後頭部に関しては、僧帽筋や後頭下筋群があり、普段より首肩が硬くなりやすい。
以上が、成長しにくいと考えられます。
以上の問題を解決する為に、針の刺す深さを深層にした事で、髪の成長が促進されました。