中医の雑記中医学

漢方薬は生薬同士を合わせる事で効果が改めて発揮される

少しむかしの論文となりますが、生薬は組み合わせによって成分が変化するというお話をします。

「6種の漢方煎液中のbaikalin及びsaikosaponinの濃度と牡蠣の関係」という塩野義製薬株式会社研究所のだした論文を参考にしています。(リンク付けてあります)

この論文のイトガク的ポイント

牡蠣(ボレイ)って貝殻な訳だけど、煎じると成分って出るものなの?という事です。うすらぼんやりながらですが、この論文では成分が出ていることの示唆がなされています。

実験の目的

本来のこの実験では、煎じ薬の中の柴胡(サイコ)と黄芩(オウゴン)の成分が構成する生薬によってどのように異なってくるかということでした。

実験の概要

小柴胡湯、大柴胡湯、乙字湯、柴胡桂枝湯、柴胡桂枝乾姜湯、柴胡加竜骨牡蛎湯の6種類から成分分析が行われていました。

題名にあるサイコサポニンはa・b・c・dの成分があり、そのうちサポニンdの成分は脆くて、サポニンb1・b2に変化しやすい物質だそうです。現状は分かりませんが、サポニンdには臨床的な意義は含まれないとのことです。

実験の結果

それぞれサポニンの含有量を計測した結果、牡蠣を含む柴胡桂枝乾姜湯と柴胡加竜骨牡蛎湯には他の4種と異なり、サポニンdの含有量が多かったという結果が出ました。

流石に牡蠣の主成分カルシウムが出るには溶解度は低いが、牡蠣自体アルカリ性であり、酸性状態を中和したことによりサポニンdが壊れずにいたのではないかと述べられています。

結果のおまけ

なんとこの実験には、おまけが付いていました。

この実験過程で使われた生薬は、生薬自体を粉末にしたものを煎じたそうです。しかし、臨床現場と合わないことから土瓶を使い通常の大きさで煎じたものとを比較したそうです。

考えてみれば、細かく砕くほど抽出率が高そうに思えます。しかしこの実験の結果は、土瓶の方が抽出効率が粉末と比べても同じということでした。

結構いいことを言っている

なかなか結語がいい事が書いてあり、ポイントだけ言うと下のようになります。

・土瓶やるじゃん。

・水の量や最終の水の量は成分の出方と関係する。

・生薬の組み合わせは、薬効を協力的

拮抗的・成分の抽出的に働く

これだけのことを知っていた、過去の漢方の偉人たちは、いちいち素晴らしい‼︎。それだからこそ、漢方は個人に合わせて組み合わせ作用をさせるきっかけとなるだろうと信じています。

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