中医学臨床試論鍼灸

関係ないところを治療される②

でも、頭が痛いのに頭を治療しないで治るのであれば、それはまさにオカルトではないだろうか?

現代科学での痛みの分別

そもそも痛みについてですが、①侵害受容性疼痛②神経障害性疼痛③中枢機能障害性疼痛などに分類されます。

侵害受容性疼痛:切り傷、打撲、炎症などの損傷による痛み。

神経障害性疼痛:神経自身の遮断や損傷による痛み。

中枢機能障害性疼痛:組織・神経に損傷などの異常がない状態の痛み。一時は心因性疼痛という心理的に起こる痛み。脳内ネットワークに起因する。一部の慢性頭痛・腰痛なども含まれる。

これらが、現代医学的な痛みの分類です。

 

イトウガク的遠い所の治療への考え

イトガク的上の病は下で取り、下の病は上を取る理屈の解釈

①意識偏在の調整

②筋肉・骨格の偏重の調整

この2つが現在考えられます。

意識偏在の調整

人は痛みが起こると、なるべくその部分に意識を集中しようとする傾向が見られます。

他のところに症状があるとしても、その感覚の軽重や部分の深さなどにより、痛みに対し意識の重要性が変化します。それが、意識の偏在です。

意識の偏在は時により、発生しやすいです。例えて言えば、首が痛い時に思いっきり膝を柱にぶつけると意識が膝へと向かいます。

あくまでも、この方法であれば痛みの感覚自体は減少しますが、根治とは言い切れません。

筋肉・骨格の偏重の調整

簡単に言えば、人それぞれにある姿勢変化の筋肉・骨格的な偏りです。骨は筋肉にくっついており、筋肉の緊張によって歪むことが大いにあります。

現代的な中医学の鍼灸理論では、「穴義」と言われる経穴(ツボ)に意味を持たせています。

有名な足三里であれば「補気補胃」みたいに、薬の薬効のように習います。そのことで、神経的あるいは、骨格的変化をもたらすことが出来て内臓の疾患も治せるのだと考えられます。

 

以上のことから、鍼を頭から遠いところに刺して頭痛が治療できるというのは、決してオカルトでは無いという所以です。

 

ただし、古典的な中医では「〇〇の症状に対して、▲▲と◼️◼️を刺す。」とあります。ここで現代的な中医鍼灸学とは大きな開きが現れます。ただ、端的にある症状に対して、経穴を提案しているだけなので。

なので、古今の鍼灸臨床書物で近代に近づくほど散見されるのは、根本(遠隔)治療+局所という組み合わせが多いです。

鍼灸の方法にも時代の変遷を感じます。

もし、鍼灸治療を受けるときに問題のある場所から遠いところを治療されても、不思議がらずに受けてみてください。ちゃんと意味がありますので。

イトウガクにとってのショートケーキのイチゴは、口の中の環境の完全回復に使われる遠回り的な遠隔方法なのでした。

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