中国伝統医学の漢方薬・鍼灸あんまの専門家「中医師」 イトウガク です。
7月8月は、夏の暑い盛りになってきます。
気温が暑くうなだれる中、早起きをして気持ちだけでも涼しみに行ってみましょう。
イトウガクは、横浜に住んでいるので、この時期見頃となるハス(蓮)を観に行きます。横浜ですと、有名なのが「横浜三溪園」です。観蓮会のシーズン中は通常よりも早くオープンしており、おかゆなんかも楽しめます。食べたことはないですけど。
ハスは、漢方薬でも使われます。しかも満遍なくほぼ全部が使われます。
蓮子肉(レンシニク)
ハスの肉ってなると、レンコンの方が想像してしまう方もいるかも知れませんが、蓮子肉は蓮の実から芯を除いたものです。
基本的な効果は、「出るものを抑えて、元気にして気持ちを落ち着かせる。」ことにあります。
効果:益腎固精、補脾止瀉止帯、養心。
不眠・心臓のドキドキ・下痢・オリモノ・尿もれ・早漏・疲労などに使用できます。
中国だとお粥に入れたりします。
蓮須(レンス)
「須」は、糸的な意味があるのですが、ここではハスの花にあるオシベを指します。こちらも、頻尿など抑える作用に働きます。
蓮房(レンボウ)
花を支える花托の部分。
この部分はハスの中でも特殊であり、止血や血の流れが悪いことで起こる瘀血(オケツ)を溶かす作用があります。
炒炭という炒めて炭化させる方法を使います。止血に働く薬は、炭化させる事で作用していきます。ついでに、昔タバコの灰で止血するという話がありましたが、おそらく炭化させるということに繋がると考えられますね。
蓮子心(レンシシン)
蓮子の実の中にある胚芽。
効果:清心安神、交通心腎、澀精止血。
気持ちを楽にさせる作用があることから、リラックスのお茶として飲まれていることがあります。
蓮の心茶とか、蓮子心茶などの名称でネットでも購入が可能のようです。
荷葉(カヨウ)
蓮の葉。清暑利湿、昇陽止血。夏の暑熱による症状に効果があります。『食療本草』によると、蓮房と荷葉は瘀血を取る作用があるとされています。
荷梗(カコウ)
葉や花の茎。通気寛胸、和胃安胎。暑湿、胸中の不快感、つわり。胸苦しさや胃の不快感、胎児の安定をさせる作用があります。
藕実茎(グウジツケイ、藕節、藕)
いわゆるレンコンです。
疲労を取り、心を安定させ、百病を取り除くとあります。生で食すると、男性は血を損なうとありますので、蒸したり火を通して食べるといいでしょう。
現代食養生の書籍では、生で食べれば熱を冷まし肺を潤し、瘀血を取り除くとあります。火を通して食べると、強壮して食欲を高め、下痢を止めたり、精気を固めるとあります。
ハス一つに、これだけ体に作用します。食べるハスも良いですが、観るハスってのもオツなものです。
横浜三溪園にも、立ち寄ってみてください。