中医学学習

陰陽を学びませんか?

 

この図を見たことはありますか?業界的には「太極魚図」と言われてます。これは陰陽の関係と運動を表します。

ひとつ問題です。韓国の国旗がありますが、陰陽的に欠如している問題があります。その答えは文を読み進んで答えを見つけてください。ただし、国旗の本義については問いません。

 

 

 

中医を勉強する上で、整体観念や弁証論治と言った特徴を学んだあとで、次に来るのが「陰陽」についてです。

日本でも陰陽師の安倍晴明や、光と影といったら陰陽のような感じで捉えやすい内容なので、今回は長編ですが学習していきましょう。中医基礎理論という教科書から簡単にまとめました。

 

 

陰陽の定義(中医基礎理論)

中国古代哲学の1つの思想で、自然界での事物や現象と関連する対立し合う概念。事物の相互的な対立や1つの事物の中にある相互的に対立し合う2つの方面のこと。

要は、物事や現象には2つの対立と協力をしあう関係が存在がありますよということです。それが、光と影のように対立し合う関係か、火のように1つの物質にも燃える成分(質)と火自体の見える存在(物)のようにあるかということです。昔の言葉に「陰陽者、一分為二也」とあります。

陰陽の特徴

①陰陽交感(いんようこうかん)

陰陽の2つの気が運動することで、いろんな物へと変化する過程という意味。

『老子・42章』「道生一、一生二、二生三、三生万物、万物負陰而抱陽、衝気以為和」(万物には陰陽があって、ぶつかり合って和する)

 

②陰陽対立・制約(いんようたいりつ・せいやく)

陰や陽には対立や制約する関係が発生するという意味。その対立や制約が陰陽のバランスを保つことができる。

 

③陰陽互根・互用(いんようごこん・ごよう)

陰と陽は、お互い離れられない存在であることを基本とした考え。

a.陰陽互根 

陰陽はお互いに離れられない存在であり、その一方の存在の根本であること。簡単に言えば、一方の存在が消えてしまえば、自身の存在も消えてしまうこと。「孤陰不生、独陽不長」(陰だけでは生じない、陽だけでも成長しない)

b陰陽互用

陰と陽は互いに対立や制約を起こしているが、同時に互いを利用し合うことでその機能を発展させることが出来る。悪い言い方をすれば、警察さんと893さんが・・・みたいな。

「陰在内、陽之守也。陽在外、陰之使也。」(陰は内にあり、陽が守る。陽は外にあり、陰はこれを使う。」

 

 

④陰陽消長・平衡(いんようしょうちょう・へいこう)

陰陽の運動中は必ずしも陰陽のバランスが一定ではなく、変化を起こしていく(消長)。また、その消長は一定の範疇で留めることでバランスをとる(平衡)。

陰陽消長の変化

a此長彼消(しちょうかしょう):

こちらが多く(長)、相手が少ない(消)場合。

・陰長陽消「陰勝則陽病」 陰>陽

・陽長陰消「陽勝則陰病」 陽>陰

b此消彼長(ししょうかちょう):

こちらが少なく、相手が多い。

 ・陰消陽長「壮水之主、以制陽光」(水を増やして光を抑える) 陽>陰

・陽消陰長「益火之源、以消陰翳」(火の源を補って、陰の覆うもの消し去る。)陰>陽

c此長彼亦長(しちょうひえきちょう):

どっちも多い。※亦=又=「また」

・陰長陽長、陽長陰長

補気を以って血を生じ、補血を以って気を養う。陽中に陰を求め、陰中に陰を求める。

※両方とも多いから、両方に流れるということを言いたいらしい。

⑤陰陽相互転化(いんようそうごてんか)

1つの事物がある一定の状況下で相反する方向へと転化すること。陽が陰へと転化したり、陰が陽へと転化する。

「重陰必陽、重陽必陰」(陰が積もれば陽になる、陽が積もれば陰になる。)「寒極生熱、熱極生寒」(寒が極まれば熱を生じる、熱が極まれば寒を生じる。)

※ただし、一気に転化ではなく緩慢的に転化を迎えることが多い。

 

陰陽相対図

自然界や人体に当てはまる陰陽です。

自然界 人体
太陽 春夏 木火 上半身
秋冬 金水 下半身

 

陰陽と円運動

彭子益先生は、人間の気も宇宙の気も円運動を構成しており、円運動が崩れることで病気や天地異変が起こるという「実験中医学」という流派の源流となった方です。その円運動について、化学的に論評を書いています。その、円運動から見た陰陽について紹介します。

要約すると

①陰とは、光の当たらない部分。陰の性質とは「下降」「圧縮」「直下」「静」「沈降」を持つ。

②陽とは、地表に太陽の光が降り注ぐ部分。陽の性質は「上昇」「膨張」「直上」「動」「浮上」を持つ。

③陰と陽は、互いに磁石のように引き寄せ合い、沈降と浮上をすることで円運動が起こる。

④円運動が起こり、遠心的に力が発生することで中心力が起こる。その中心力を「中気」と言う。また遠心的に働く力に「昇・降・浮・沈」があり、現代中医学では「昇降出入」という気の動き(「気機」)として表現される。

⑤中気は生物の生命そのものであり、気の運動による産物である。

⑥五行にも陰陽があり、昇・降・浮・沈によって働く力が五行である。「行」とは運動を表す。

 

 

太極魚図の見方と復習

太極魚図から、今までの復習をしてみましょう。

太極魚図の見方

・大きな白黒の組み合わさった丸を「太極」と言い、それぞれ白を「陽」、黒を「陰」としています。

・なぜ太極魚図というかと言いますと、2つの魚が混じり合ったように見えるからです。その黒い魚の目を「陰中之陽」、白い魚の目を「陽中之陰」と言います。

・なるべく「陽」が左に来るのが理想です。これは、君子が南側に面した時、太陽は左(東)からはじまり、右(西)に沈むことから由来されます。

 

復習

・図を見ての通り、丸が1つ構成には陰陽の両方の存在あります。それは、1つの物と事・性と質であったり、2つの対立しあう事象を指します。また、円運動により遠心力が現れると中心力が存在するようになり、それが生物などの発生となります(陰陽交感)。

・陰陽の特性には、その対立や制約があります(陰陽対立制約)。同時に、お互いを結びつけますが、そのポイントは「魚の目」です。

上昇する陽に対し「陽中の陰」があることで、その独立性を抑制します。また沈降する陰に「陰中之陽」が沈降のしすぎを手伝うことで陰陽が運動をするようになります(陰陽互根互用)。

・円の中の陰や陽の比率により、体の変化が生じます。円の大きさは、その根本たる陰陽の量を示します。大きいほど陰陽の量は多く、小さいほど量は少なくなります(陰陽消長)。

・図のてっぺんと一番下では、それぞれ陰が陽に、陽が陰に切り替わっています(陰陽転化)。

・陰陽の運動は浮・沈・昇・降のバランスにより成り立っています。

 

 

結論

「陰陽」の概念は、全ての物事を表します。中医に限らず兵法や人間関係、自然、見えるものや見えないものの総括です。

陰陽を理解して応用するということは、病気の診断や治療の方法を知るということです。陰陽の量、場所の偏りや、その偏りを治すために陰陽の割合などが大事になります。

中医を勉強する人は、しっかりと身につけておきましょう。

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