中医学

記憶を無くす

ここから始まる

梅雨入りし不安定な天気を迎え、自分の身近な人ですが、親が入院をしました。
何でも突然気分が悪くなり、記憶障害を起こしたと話を聞き脳障害を疑った。

病院に駆けつけると、親はベッドへと横たわり左右の腕でフェニトイン(アレビアチン)とガスターの点滴を受けている。普通に声をかけてみると、意識は明晰であり、こちらの顔は覚えているようだ。ただ、外見としてはいつもよりもハイテンションで、リアクションが大きく、瞳孔も開いた状態が見られた。

 

記憶が飛んでいる

意識は明晰であるけれども、日にちや曜日やなぜ病院に来たかも覚えていない。それらを教えても10秒と記憶(記銘)がなされず、質問を繰り返すことになる。この時点で医師と診察をしてMRIなども受けているが、その記憶も完全に飛んでいる。

家族から初期的な病状説明を受けると、MRIの初期で脳に影があるとのことで「脳腫瘍の疑い」とのことだった。この状態なので良性か悪性かも分からず、なおかつMRIをする時に造影剤も入らないような圧迫状態にあったようだ。ただ休日に診療に行ったため、主治医からの病状説明を受けられる状態にはなかった。

記憶には、短期記憶と長期記憶がある。今回、親の状態としてはある場所のイベントに行き、そこで調子悪さを訴え、救急車に乗りながら隊員に病状を伝え、病院に入り診察と検査を受けた記憶が無い。

当然、脳腫瘍の疑いがあるため入院は2ヶ月とかかかる可能性があるとは告げられているので、身辺整理を含めて書類や金銭などの情報を聞き出すことになる。

これらの情報に関しては、(実家は結構散らかっているけれど)場所も具体的で、人や数字に関しては明確に覚えている。つまりは短期記憶が欠如して、長期記憶が残っていることになる。ついでに銀行の暗証番号を聞いた時は、イトガクに対し「銀行のことは任せた!」と言い放った。

今回の状態から見ると、ある地点の周囲の記憶と今の記憶が無いことになる。しかしながら、脳梗塞などの脳内圧亢進によるめまい・吐き気・頭痛・ふらつきなどは見られないし、力もしっかりしている。それらの病気であるかも、また怪しい状態にあった。

医師からの初期診断を受ける。

入院翌日、医師からの初期診断の説明を受けるため病院へと向かう。
前日のパニック状態に比べ、だいぶ衰弱した感じがある。本人曰く「目を開けて頭を動かすと吐き気が出て気持ち悪い。」とのことだった。眼振も起きていたらしく、何かしら脳に反応が出てしまっているのだろうか。

病院に行く途中、家族の間で脳腫瘍であった場合などはどうするか?なんて話をしており、病院でも引き続き身辺整理的な話が進む。

ただ、前日よりも記憶に関しては多少出てきたせいか、「検査はまだ終わっていない。」とも言っており、食事をした記憶もあるようなので「もしかしたら回復してきてる?」と感じた。しかし、本人は完全に衰弱した感じにも見受けられた。

2回目のMRIを受けたあと、医師からの病状説明を受けた。
医師からは開口一番「良い知らせとあまりよくな知らせがあります。」と実に濁した表現であった。

良い知らせとは、脳腫瘍の疑いであったが、影はどうやら「嚢胞」らしく、良性が多く特に影響している状態では無いとのことだった。

結果は、「全健忘」だった。全健忘は一過性全健忘と言われ、24時間で回復するとも言われる一方、もし「てんかん」などで有れば、再発する可能性もある症状とのこと。健忘には前向性健忘と逆行性健忘があり、今回の場合はその両方を合わせたものである。脳の血が減少することで、ケイレンを起こして発症したのでは無いか?との見解であった。

想定していた通り、ある時点からの周囲の記憶+それ以降の記憶が失われている状態にあると説明された。その原因は、薬物・心理的ストレス・身体的疲労などになる。不眠の人が使う薬にもそのような作用が起こるとのこと。しかし、親はよく寝られるので該当せず、むしろ血圧が高いので、降圧剤を飲む程度だった。そして、大の薬嫌いである。

しかし、これらの原因に当てはまらないこともない。現に1日多くの用事に毎日出かけ、出先では頭を使うようなことをして、降圧剤を飲み、その日は自分が出るイベントがあり緊張する。そして、その日の天気は急に寒くなった日で気圧が低い日だった。

今回の状態を中医で思考する

中医的に分析すれば、そもそも年齢的には腎が弱まり水分が少なく、頭脳労働や動き回ることで気血が減少する。気血両方少ないが、血や水の陰の消耗が強い状態にあり、陰が陽を抑制出来ずに陽気が頭部へ上昇することになる。これが高血圧の状態になる。当然、血圧が高ければ降圧剤を飲むことになる。その事で、陽気を下へと抑えられることにはなる。

さらに、その日のイベントの緊張は気の滞りで血流を阻害し、気温の低下によってより冷えは足元から来ることから、降圧剤で抑制された陽気が浮き上がろうとしたため起きたと考えられる。中医で記憶は、腎の臓により表し、腎気が不足すると記憶低下が起こると言われている。今回は、腎自体が栄養されずに腎陽が上昇し、脱陽に近い状態にあったのではないかと推測される。

簡単に説明すれば、お風呂(体の陰気や外部からの冷え)にゴムボール(陽気)を浮かべて、手で抑えた状態(降圧剤)から、手というフタが外れた時と同様にある。正確にはお風呂の水が増えて(外からの冷え)、その圧力で手が外れると考えた方が良い。

 

とりあえず

そんなこんなで、まだ記憶が回復している状態ではない。しかしながら、医師からの病状を告げて薬も手術もとりあえずは必要のない状態にあることを伝えた。その側から病人は顔に元気を取り戻し、めまいで吐き気があったはずがその状態も軽減していった。

病人らしい格好をしていれば、病気をしているように感じるらしい。病気の原因も分からず、自分が脳梗塞かなのかと自覚し始めた時の感覚は不安でたまらない状態にはなるだろう。真実を告げた瞬間に、その症状はまさに緩和していった。

中医では精・気・神と言われる。その内「神」は心理や精神を司る。まさに症状の変化は自身が起こした状態に他ならないのでは?と思わされる出来事だった。

未だ記憶は定着しにくい状態にはあるが、そこは是非鍼灸を使うものとしては治療の一環として取り入れてやりたい。ついでに、銀行口座を任せたことに関しては「本心では無い!」と言われましたとさ。

 

最後に

心は病を引き起こすが、それを起こすの原因の1つは自分の心にある。病気の好転や悪化の道筋は自分で作れるし、それを心から調整するのは自分でもできる。自分が最高の薬の1つである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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