中医学古典中医学彭子益養生法

おキュウを使って、病気を予防する。前説

漢方薬と鍼灸マッサージの専門家・中医師のイトウガクです。

今回は、手始めにやんわりとおキュウによる病気予防について書こうと思います。

しかし、今回の新型肺炎での病気がどのように起きていくか知る必要があると思い、まずは前説を用意しました。

円運動と中医学の考えでは、新型肺炎は起こるべくして起きた。

中華民国の民国時代に、彭子益(ホウシエキ)という漢方医がおりました。その著書の円運動的中医学の温病篇では鼠疫という所で、冬の気候が与える感染病の影響を以下のように書いています。

「冬至の前後に気温が高くなると起こる。冬温の死証である、発熱・昏迷・気微・心乱が現れ、随伴症状は決まっていない。」(円運動的中医学 温病篇・鼠疫)

また、二十四節気について書かれている内容では、冬至の気候特性が以下のように書かれています。

「冬至は、陽気の熱が降り切って、まさに昇ろうとしている時期である。

この時期は、気温が暖かく寒くもない、また雷が聞こえたり、霧が立ち込めたりしている時は、陽気が外へと漏れ出しており、上熱下寒となりやすく、人が早く死にいたりやすい温病となる。

翌年の春夏の病はより酷くなる。冬至の時、天や人では下部に陽気が多く、陽気が多ければ動くようになる。そうなると、遺精や白帯の病が増えるようになる。」

(「円運動的中医学」二十四節気篇)

 

つまり、12月冬至から大寒時期に雷や霧が出た年は、鼠疫が起こると書いています。ここでは鼠疫(ペスト)のことを書いていますが、おおよそ流行する病が起こりやすい時と考えられます。

事実、昨年12月武漢でも霧が出ており、日本でも雷が観測されています。

12月27日に霧が観測されています。

 

ついでに昨年中国の内モンゴルでペストに罹り、北京に戻ったと言ったニュースをご存知の方もいらっしゃるかと思います。

腎の溜める力の機能不全と相火の上昇

彭氏は、この原因として冬の特徴である、封蔵という閉じ込めて蓄える機能が暖冬のため働かなかったと論じています。体を温める陽気を下腹部に蓄えるはずが、閉じ込められず熱が上昇して症状が現れます。

そうなると、頭寒足熱ならぬ上熱下寒という体の下部が冷える状態となり、温病(感染病)になると述べています。

 

第2の原因である、中気(脾胃)の不足

さらには中気不足、つまりは消化機能などが低下し、栄養を作れなかったり疲労しているような状態の人にかかりやすいと述べています。

なおかつ、中気というくらいなので、体の真ん中にある気なので大事になります。どのように大事かと言いますと、体のめぐる大きな気をタイヤと考え、それを軸と動かすのが中気です。タイヤの軸が全くダメになると気がめぐりません。それは死を表します。

免疫力をつけようとして、食べ過ぎても、中気を傷める事になります。

 

中国では「清肺敗毒湯」が使われた

軽度〜重度の症状に対し、中国大陸では漢方薬による治療も多く用いられていた。その代表的な処方が「清肺敗毒湯」という麻杏石甘湯+射干麻黄湯+小柴胡湯+五苓散の処方です。

肺炎が出ていたので、咳症状を抑える(気を降ろす)や清熱剤、湿を除く生薬が中心で使われています。

この処方から円運動としては「上昇した熱(相火)を冷まして気を降ろす。」ことと、「脾胃の機能低下により生じる湿を取り除き、体の円運動を起こさせる。」ことが主となると読み解けます。

よって、中国医学で免疫力を高めるのに必要なのは、中気を作る脾胃(ひい)の機能の正常化を保つ事にあります。また、封蔵されなかった熱を補助的に補うことが必要です。

 

さて、次回こそお灸の話をしましょう‼︎

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