中医の雑記

中医治療の適応範囲について

かつて依頼されて書いた文章ですが、中医で今後治療を受けられる方のために、参考として読んでもらえればと思います。

前文

中医は、治療のできない疾患が多数ありますが、多数の疾患に対してが治療できます。
一見矛盾をした様な言い方ではありますが、その理由は中医の持つ理論にあります。
その前に、中医とは何かを紹介させていただきたいと思います。

中医とは

中国で発展・普及し伝統的理論に基づき、漢方・鍼灸・あんまなどの方法を使った治療を用いる医学を指します。西洋医学と対比することより、「中国医学」つまり中医となりました。現在では中国、台湾はもとより、アメリカ、ドイツ、イギリス、ギリシャなどでも普及が進んでいる医学です。

中医の持つ理論には、「整体観念」という「人は宇宙・自然の一部であり、人の体もまた宇宙である。」と言う、人を小宇宙としてとらえた理論を持ちます。次に「弁証論治」と言う、「病症を判別する方法を使い結果を求め、治療方法を導き出す。」理論があります。

「弁証論治」をもう少しわかりやすく説明させていただきますと、刑事が犯人を捕まえるプロセスと同じです。それぞれの症状と言う証拠を集めて、証拠を固め犯人を断定するまでが「弁証」。その容疑者がもしかしたら暴れるかもしれません。その時にはどの様な方法で捕まえるか。それが「論治」です。中医では、その二大理論を用いて治療に赴きます。

それ以外にも有「未病治(みびょうち)」や「薬食同源(やくしょくどうげん)」などの有名な言葉があります。

中医の治療について

そもそも中医を使うと、なぜその疾患が治るのか?この内容については諸説紛々あり、現代科学でも解明出来ず、正確な比較データが無いため、その効果に疑問を持たれる事は多々あります。

また、心理作用によるものではないかと言われる方がおります。そうであっても、中医の手段を使って治っているという事実は変えられないことも忘れてはいけません。

中医の治療に携わる者が、どの様に治療を考えているのかをお話ししたいと思います。

先に述べた通り、人は小宇宙です。小宇宙は、宇宙の調和を何かしらの原因で崩された時、何かしらの問題を引き起こします。

その問題に対し、現代医学では問題の部分に対してのみのアプローチを考えます。

例えば、発熱には現代医学的には解熱剤を用います。中医では熱を起こす根本の部分を探し、体の小宇宙を調和させることを重要視します。中医で熱の原因はいくつもありますが、多くは体の「水」に比べて「熱」である「火」が多いことが問題と捉えて、「水」を補ったり、「火」を冷ましたりと、方法を状況に応じ変えていきます。

宇宙の調和を整える大きなキーが「陰陽」です。陰陽とは、火と水、男と女、上と下、表と裏などの二元性の物質を指し、その調和が宇宙を構成させています。交感神経と副交感神経も対立し合いながらも、調和を取り合う一つの例と言えましょう。

次に、体の中にある「気、血、水(津液)」を整えることを考えます。陰陽においては陽に属します。「気」は、生物が活動するための基本的なエネルギーです。免疫や体温、成長、物質の運送とルート保全、物質変化などの機能があります。簡単に機能が低下したことで起こる問題の一例を述べてみたいと思います。

①身体を温める機能が低下。→ 冷え症。

②成長を促したり、血流などを整えたりする。→ 生理痛、腰痛、ウツ、成長不良。

③身体を守る。→風邪を引きやすくなる。


④体液・エネルギーのルート保全と固定。(血液が通り道から出ないようにするなど。)→出血、尿もれ、息切れ。


⑤物質を別のものに変化させる。(食べ物を血液に変化など。)→貧血、むくみ、痰がからむ咳。

「気」の他には、体の栄養要素や水分要素「血・水」を調節します。その栄養要素は「気」の運送力により「経絡」という道路を通り、五臓六腑を栄養します。

中医の治療で考えることは、根本である陰陽を調え、気血水を調和し、経絡を通して、五臓六腑を安定させることです。

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