真火の上昇と未上昇の区別
君火相火の不足で陰気が増えることによるシチュエーションは以下の2種類が考えられる。
①「有陰気上騰而真火不與之上騰者。」陰気があって上昇しても真火は上昇しないもの。
②「有陰氣上騰而真火即與上騰者。」陰気が上昇すれば真火も共に上昇するもの。
この2種類は特に注意すること。
脈浮空、気喘促(息切れし呼吸が浅くなる)、未だ顔の発赤・発熱・発汗が無ければ、陰気上騰はあっても真火の上昇は未だなっていない。
顔面の発赤、発熱、発汗があれば真火の上昇が現れた証拠。これを「脱(陽)」と呼ぶ。
治法:回陽鎮納
真火の上昇が見られていなくとも、陰盛が出ていれば手遅れにならないうちに「回陽」をする。
?陽気の下降
また、以下の2種類にも注意をしたい。
①陽気下趨而君火未與之下趨
②陽気下趨而君火即與之下趨
・ 君火の下降: 四肢の強い冷え、二便は利して失禁は無い
・君火の未下降:四肢の冷えは無く、脈が細微にして尽きそう、二便は下血して下痢になり未消化で水様、失禁がある。
?下が弱まる(※陰が弱まる?)=脱陽、 坎中之陽→補陰 独参湯
?上が弱まる(※陽が弱まる?)=脱陰、 離中之陰→補陽 回陽飲
脱陰に補陽、脱陽に養陰を使う必要のない場合もある。
陰盛ならば陽はすぐに滅する(※陽気不足を伴う)。陽が旺かれば陰すぐ消す(※陰気不足を伴う)。
イトガクの補足
陰が増える(陰盛)ことにより、真火が上がるものと、上がらないものがあると述べられています。真火が陰盛により上昇した状態は、非常に危険であり「脱陽(亡陽)」と言われます。
脱陽の症状の基準は、「脈浮空、気喘促、発熱、発赤、発汗」が見られるか、否かです。