全遺伝子の働きの季節変化を自然条件下で捉えることに成功。
今回は植物の話ですが、人体でも同じことが起きているのだろうか?という話題です。
京都大学で、植物の葉にある全遺伝子を対象に、遺伝子の働きを測定する研究がおこなわれました。
研究の概要
この研究は、野外での植物を含めほとんどの生物が季節に応じたスケジュールを持つことから、その遺伝子の機能を測定することが最近の研究手法により可能になったために行われるようになったという背景があります。
研究内容は、アブラナ科のハクサンハタザオという植物を実験対象とし、結果として葉で働いている17,205種類の遺伝子のうち16.7%にあたる2,879種類の遺伝子が、季節に応じて働きの強さを変化させたそうです。さらに研究では、春分・夏至・秋分・冬至それぞれの日内変化を調べ、1日のうち7,185種類の遺伝子が1日で働きの強さを変化させることも明らかにしたそうです。
また、研究において季節変化によって始めて明らかになった遺伝子も多数あったとのことです。
この研究の植物は、定点観察で2年を通して研究が行われてきましたが、植物のような生物でも日内変化や季節変化によって働く遺伝子がかわっていきます。人間においてもサーカディアンリズムと呼ばれる概日リズムがあります。また概年リズムという1年単位のものもあります。これらも時間生物学では、時計遺伝子が関与していると示唆されています。
三因制宜という言葉について
中医では、「三因制宜(さんいんせいぎ)」という言葉があります。ヒト・モノ・カネではないですが「天・人・地」に合わせて診断基準が変わり、それに合った治療を行うことです。
これこそまさに中医の特徴とも言えるでしょう。
ここで表す「天・人・地」ですが、
①天:時間・季節・天気など
②人:各人の体質、対人問題などの心理的環境の変化
③地:土地環境の状態
これら3点が、身体の病気の変化と治療に関わるとされています。2000年以上も前より、日内変化や季節の変化、環境の変化に体調の変化をつぶさに観察しており、中医学バージョンの概日リズム・概年リズムに基づいた治療方法と言えます。
天・人・地の順番は、気と関係する?
雑談ですが、一般的には「天・地・人」と言われますが、ここでは「天・人・地」と故意に表現をしています。
「天・地・人」は、音の踏み方が綺麗だということもあり、この順番である可能性もあります。また、孟子の書いた文章の中にも「天の時、地の利、人の和」の順番で書かれていたため、その順序になったとも考えられます。
ここでの「天・人・地」は、中医の考えに基づき天と地の気の交流により、その天と地の間で生物・人が生じることから人が真ん中にいます。
本当に漢方や中医学は怪しいですか?
時間生物学などの遺伝子の考えから見たとき、果たして中医というのはイカサマやマヤカシ、怪しい治療だったりするのでしょうか?
むしろ、遺伝子の考えなどを抽象的に捉えていた先進的な医学とも考え得ると思えますが、あなたはどう考えますか?