漢方と鍼灸あんまの専門家・中医師 イトウガクです。
今回は、水野南北著『南北相法』より、呼吸から見た運についてと、中医学から見た観点(ツッコミ)を書いてみました。
なお、○は本文で※はイトウガクのツッコミとなります。
○息は丹田からでるので、腎気(精力)に応じる。息から腎気の強弱と心持ちの吉凶を探ることができる。
※丹田は、臍下3寸の「関元(カンゲン)」という気が貯まると言われ場所です。「腎は納気を主る」と言われ、吸気を納める機能があるとされます。腎はまた「沈」や「封蔵」すると言われ、心を落ち着かせることが可能となります。
○豊かな息=腎気が強く、根気がある。
○大きな腹の人は息が豊か。小さな腹の人は息が忙しい。
※小さな腹は想像しにくいですが、よく見られるのは「やせている人」で緊張が強く神経質の人には、呼吸が早く短い傾向が見られます。中医では気虚体質に多く見られます。
○腎気が衰えている時は、息も衰えて早くなる。
○豊かで長い息=心も豊かで、体も強く長寿。
※上記二つは、最初の文面で述べた腎の強さです。そもそも人は、酸素を取り入れることで体のエネルギーを消耗させて体を活性化させるので、当然と言えば当然ですね。
○ため息=腎気が薄く気力も喪失。根気がない。
※中医的には、肝気のうっ滞=気の流れが悪い時に、ため息がよく出るようになります。ただ、上記の呼吸の解説通り、緊張した状態を回復させるためにため息をついています。
根気がないというより、やる気が出ないということになりますね。
また、『霊枢・口問篇』では悩んで思ってばかりいると心が緊張して気道を締め付けてしまうために、ため息はでると書かれています。心包・心経と胆経を調整しましょうとあります。
○イビキをかく=腎気が強く体も強い。
○イビキをかかない=腎気が弱く、根気もない。
※イビキ自体は病理的なものもあるので、一概にかかないほうが良いと言うわけでは無さそうです。イビキかかないは、無呼吸症状のことなのかもしれませんね。中医では熱が強く陰が傷んだ時、肺の気がうまく作用しない時に起こるされます。
中医の内容については、今後もブラッシュアップを加えて行きますので、その時は加筆としてこちらにも記載しておきます。
それでは。